Shuttle DH310

ESXi用に購入したShuttleのベアボーンDH310を紹介します。筐体のサイズは幅16.5cm 奥行49.0cm 高さ4.3cmと、所有する比較的小型なルーターIX2105よりも若干大きいくらいのサイズで、お気に入りの小型ESXi用マシンの一つです。

TDP 65WまでのIntel 第8世代(CofeeLake)のCore i7,i5,i3やPentium,Celeronが搭載可能です。私の場合は発熱等の心配がありましたが、TDP 65WのCore i5-8400 (6core / 6thread / Base 2.8GHz / Turbo 4.0GHz)を搭載してみました。

このベアボーン購入の最大の理由は、小型の筐体であり、また自由にCPUを搭載可能というのもありますが、2ポートのIntel NIC(I211)を搭載していることです。2ポートあれば最低限ルーター的な動作をさせることが出来るので、ESXi上にDebian9を入れて、site-to-siteのIPsec接続をするルーターとして活用しています。

私は使ってませんが、シリアルポートを2ポート搭載しているところも、これを使う人のツボを押さえていますね!

小型の筐体ということで一番気になる部分は冷却機構になりますが、6cm角・1cm厚のファン2つで冷却する構造となっており、TDP 65WのCPU冷却にはやや心もとなく、ファンの騒音も気になるところです。

ストレージはM.2 SATA/NVMeに加えて、2.5インチのSSD/HDDを搭載可能なので、容量的に困ることはありません。

利用中の構成

現状以下の構成で運用しています。

パーツ 製品名 備考
OS ESXi 6.7.0 Update 2 (Build 13644319) 追加ドライバ不要でインストールできます
CPU Intel Core i5-8400 (殻割済み) TDP 65W / 6C-6T / Base 2.8GHz /Turbo 4.0GHz
メモリー DDR4 2666 16GB x2
SSD Samsung 850 EVO 500GB 2.5インチ

発熱に不安があったので、冷却を有利にするべく、Core i5-8400は購入後すぐに殻割り+リキプロ処理しました。

消費電力・発熱・騒音

上記構成時における各種計測値になります。以下の計測時は、NIC1ポートリンク、HDMI接続なし、USB接続なし、ESXiの電源管理はバランシングの状態です。

状態 消費電力 騒音 備考
電源オフ 0.0W 37.8db BIOSでEuP=on
アイドル 12.5W 45.5db
低負荷 12.7W 45.5db 3VM(3vcore)稼働時
フルロード 100W 62.3db Win10でOCCT実行開始後5分経過した時点

消費電力はTAP-TST10での目測値、騒音計は筐体上部距離1cmでサンコー 小型デジタル騒音計 RAMA11008を使いました(2db程度は測定によって変動します)。BIOSでFan Speed Controlは初期設定のSmart Fan Modeにしていますが、アイドル時でも1630RPMとそれなりにファンが回っていて、ものすごい気になるほどではありませんが煩く、寝室等で使うのには問題がありそうです。

OCCT実行中のフルロード時には、ファンの回転が3500RPMに達し、近くには置きたくない程度の騒音を発します。CPU温度も殻割しているにもかかわらず、8分程で90℃に達し、OCCTの温度リミットに引っかかってテストは終了してしまいました。消費電力も100W近くと、付属のACアダプターのキャパシティー90Wをオーバーしています(笑)。

Turbo Boostの設定値をIntel Extreme Tuning Utilityで確認すると(BIOSでは設定画面はありませんでした)、Turbo Boost Short Power Maxが56W、Turbo Boost Power Maxが54W、Turbo Boost Power Time Windowが1sとなっており、何故かTDP 65W以下の設定になっていましたが、冷却機構が貧弱ですので、安全性を考えてそのように設定しているのかと思われます。OCCT実行中はCPUクロックは概ね3.3-3.5GHzで、3GHzを下回ることはありませんでした。

なお、Windows 10 1809利用時、NIC1ポートリンクあり、HDMI接続あり、ディスプレイ電源ON、USB接続(KVM用)ありの状態でIdle 8.5Wの消費電力です。Intel RSTをインストールしないと11.6Wでしたが、消費電力削減効果のあるIntel RSTインストールで3W程度消費電力が下がりました。

スループット

本PCをルーター的な使い方をしたとき、どの程度スループットが出るのか計測しました。

構成 スループット
同一ポートグループ下のCentOS(vcore1)間でiperf3 35.7Gbps
同一ポートグループ下でDebian9(vcore1)間をIPsec(AES128-SHA1)接続
それぞれの配下のCentOS(vcore1)間でiperf3
1.28Gbps
同一ポートグループ下でDebian9(vcore1)間をIPsec(AES128GCM128)接続
それぞれの配下のCentOS(vcore1)間でiperf3
2.59Gbps

ルーター的に使う場合には問題ないスループットです。AES128-SHA1のIPsecはもう少しスループットを期待したのですが1Gbpsの回線ならまあ十分でしょう。

総評

2ポートNICの小型PCが限られる中、25,000円と低価格で購入可能なこのDH310は貴重な存在です。予算や求める性能に応じてCPUを自由に選べるのもメリットです。ただし、冷却性能はかなり貧弱であることと、ACアダプターが90Wということもあり、Core i5はやめておいたほうが無難です(私は使い続けてますが・・・)。

Core i5-8400装着前に、同じく殻割済みのCore i3-8100も試しましたが、OCCTによる負荷テストは1時間以上動作し、CPU温度も80℃以下に抑えられていました。その時の最大消費電力は80W程度です。Core i3でなおかつ殻割してもこのようにギリギリなので、Core i5やCore i3を選択するのであれば、低電圧版を選択しないと一般的には厳しいかと思います。

本当はBIOSでTurbo Boost Power Maxの値を低く変更出来れば一番いいのですが、ASUS、ASRock、MSI等の設定の自由度の高いマザーと違って、ShuttleのBIOSでは設定できる項目が相当限られるのでそれもかないません。なお、WindowsであればBIOSを使わずとも、Intel Extreme Tuning UtilityでTurbo Boost Power Maxを制限もできます。

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