Lenovo M720q Tiny
ESXi用に購入したLenovo M720q Tinyです。私の中では現在最もお気に入りの小型ESXi用マシンで、筐体のサイズは幅17.9cm 奥行18.2cm 高さ3.5cmと、所有する比較的小型なルーターIX2105よりも若干大きいくらいのサイズ。
でも、このサイズにしてCore i7-8700T (6core / 12thread / Base 2.4GHz / Turbo 4.0GHz)を搭載するモンスターマシンなんです。これくらいの小型PCでも6コアのCPUが使えるようになったことに感慨深いものがあります。Intelさん、Lenovoさんありがとー!!
CPUがそれなりに高性能な小型PCはこれまでも他にありましたが、M720q Tinyのすごいところは、この筐体にI350-T4をオプションで組み込めるんです。
2ポートのNICを搭載するPCを探すのでさえ大変な今日この頃ですが、こいつは5ポートNIC(I219V+I350-T4)・しかも全て安心・安定のIntel製です。
筐体内部にアクセスするのは非常に簡単でネジ1本外せばカバーを外すことが出来ます。写真に写っているPCIeカードはI350-T4です。I350-T4をオプションとして選択しない場合には、このスペースに2.5インチSSD/HDDを搭載することが出来るようです。
裏側にはNVMe用のスロットとメモリスロットがあり、これらは簡単に交換可能になっています。SATAなM.2は試してみましたが認識しませんでしたので、PCIe接続のNVMeが必須となります。まあ、今時NVMeなSSDもかなり安くなりましたので、問題ないでしょう。
利用中の構成
現状以下の構成で運用しています。
パーツ | 製品名 | 備考 |
OS | ESXi 6.7.0 Update 2 (Build 13644319) | 追加ドライバ不要でインストールできます |
CPU | Intel Core i7-8700T | TDP 35W / 6C-12T / Base 2.4GHz /Turbo 4.0GHz |
メモリー | DDR4 2400 16GB x2 | |
SSD | Samsung 970 EVO 2TB | NVMe |
このスペックなので、仮想マシンを大量に稼働させることが出来ます。ACアダプタはデカいですが、本体自体は小型なので設置場所に困らないのが非常にいいです。
消費電力・発熱・騒音
上記構成時における各種計測値になります。以下の計測時は、NIC1ポートリンク、HDMI接続なし、USB接続なし、ESXiの電源管理はバランシングの状態です。
状態 | 消費電力 | 騒音 | 備考 |
電源オフ | 1.6W | 39.6db | |
アイドル | 11.2W | 39.9db | |
低負荷 | 11.2W | 40.7db | 3VM(3vcore)稼働時 |
フルロード | 72.0W | 64.0db | Win10でOCCT実行開始後5分経過した時点 |
消費電力はTAP-TST10での目測値、騒音計は吸気口付近距離1cmでサンコー 小型デジタル騒音計 RAMA11008を使いました(1db程度は測定によって変動します)。アイドル時はファンの音はほとんど聞こえませんが、軽い負荷をかけると一瞬かなり気になる程度にファンが回ります(10秒くらい)。普通の使い方だとものすごく気になるほどではありませんが、Windows Update中はUpdateが終わるまではかなりうるさいです。
OCCT実行中は爆音です。Turbo Boostの設定値をIntel Extreme Tuning Utilityで確認すると(BIOSでは設定画面はありませんでした、まあメーカー製ですからね・・・)、Turbo Boost Short Power Maxが92W、Turbo Boost Power Maxが35W、Turbo Boost Power Time Windowが28sですので、28秒は92Wのフルパワー、その後は35Wの制限がかかります。OCCT実行直後はフルパワー動作になるので、クロックも全コア3.8GHzまで上昇しますが、騒音も74dbと爆音です。一定時間経過後は35Wの制限がかかるので、クロックも2.6-2.8GHzまで落ちますが、ファンは相変わらずかなりの爆音です(64db)。OCCT実行中のCPU温度は画面表示値で72℃でした。
なお、アイドル時にNICへのLinkを1ポート増やすたびに約0.6W程度、消費電力が増加します(5ポートリンク時で14.0W)。
スループット
本PCをルーター的な使い方をしたとき、どの程度スループットが出るのか計測しました。
構成 | スループット |
同一ポートグループ下のCentOS(vcore1)間でiperf3 | 34.5Gbps |
同一ポートグループ下でDebian9(vcore1)間をIPsec(AES128-SHA1)接続 それぞれの配下のCentOS(vcore1)間でiperf3 |
1.58Gbps |
同一ポートグループ下でDebian9(vcore1)間をIPsec(AES128GCM128)接続 それぞれの配下のCentOS(vcore1)間でiperf3 |
2.60Gbps |
Core i7-8700Tということもあり、惚れるほど満足なスループットが出てます。ですが、騒音という観点ではやや(かなり?)問題があります。IPsec(AES128-SHA1)接続時のiperf3テスト中はファンが高速に回り、騒音は63db、消費電力は53Wまでに達します。
総評
このサイズで5ポートのNICがあり、Core i7-8700TというパワフルなCPUを搭載出来るのは、私が知る限りこのマシンしかありません。ESXi用の小型かつ高性能なマシンという意味では唯一無二の存在です。しかし、高負荷時にはかなりの騒音となる点を考えると、使い方を選ぶところがあります。
私は迷わずCore i7-8700Tでポチってしまいましたが、高負荷時には結局を2.6-2.8GHz程度までクロックが落ちてしまいますので、Core i3-8100T (4core / 4thread / 3.1GHz)を選択したほうがよかったかもしれません。こちらだとLenovoのサイトからカスタマイズでI350-T4を搭載したとしても、他を最小構成を選択すれば、2019年6月8日時点で66,528円で買えます。安いのでもう一台ポチるか検討中・・・。