LSI SAS 9211-8i(HBA)を試す
Windows 10でのファイルサーバー又はFreeNAS on ESXiでの活用のために、LSI SAS 9211-8iを買ってみました。米Amazonで購入し、送料込みで10,000円弱となります(2020年7月時点)。鉄板のカードなので動作は問題ないと思いますが、やたらと発熱するという噂もあります。実際のところはどうなのか検証してみます。
Windows 10での動作検証
検証に使った環境は以下となります。
OS | Windows 10 Pro 2004 19041.388 |
Mother | Asus H270M-PLUS (BIOS 20200108 1605) |
CPU | Core i7-7700K |
Memory | ADATA DDR4 2400 8GBx2 |
PSU | KRPW-TI500W/94+ |
SSD | M.2 WD Grenn 240GB |
Cooler | 虎撤2 |
Chipset Driver | 20200507 10.1.18383.8213 |
Display Driver | 20200626 27.20.100.8336 |
LAN Driver | 20200615 25.1.1 |
Intel ME Driver | 20190326 1909.12.0.1236 |
Audio Driver | 20171228 6.0.1.8273 |
Intel RST | インストールなし |
BIOS設定 | EPU and Performance Mode→Max Power-Saving Mode |
利用PCIスロット | PCIe x4 slot (x16形状) |
起動時に表示される画面からすると、今回試したカードのFirmwareのバージョンはSAS2008-IR 18.00.00.00となります。Windows 10 2004ではドライバのインストールなしに、記憶域コントローラー「LSI Adapter, SAS2 2008 Falcon」2017/08/02 2.0.79.82として認識されます。Windows 10用の専用ドライバーはない模様。
Windows 10での動作検証結果
消費電力の計測にはREX-BTWATTCH1を用い、1秒間隔で10分間計測し10%点のデータをアイドル時の消費電力としています。ドライバはWindows 10の標準ドライバ「LSI Adapter, SAS2 2008 Falcon」2017/08/02 2.0.79.82となります。
カード接続前の消費電力 | 11.7W |
カード接続時の消費電力 | 20.5W (HDD接続なし) |
ファイル書き込み | 特に問題なし(NTFSフォーマットで100GB程度テスト) |
アイドル時のスピンダウン | 〇 (レジストリを修正することでSpindownするようになる) |
S.M.A.R.T値の読み取り | OK (3台接続時にCrystalDiskInfoで確認) |
カードを装着しただけ(HDD接続なし)で8.8Wも消費電力が増えます。マザーのSATAポートは6つ、CPU、メモリ、M.2等を入れても11.7Wなのに、8ポートのカード単体で8.8Wなのは解せません・・・。標準状態では接続するHDDはアイドル時でもスピンダウンせず回転したままなので、この消費電力や発熱も気になります。ST4000DM000を3台接続時のシステム全体の消費電力はアイドル時で33W前後となります。
カードのヒートシンクがかなり熱いので、温度を計測してみると58.9℃とかなり高温。このカードは通常サーバーで使われるものであり、十分なエアフローがあることが前提となっているので、ファンなしだとこのようにかなり熱くなります。
私の使い方だと、ファイルサーバーは基本電源はオンにしたままとしますが、ファイル自体へのアクセスはほとんどしないので、アイドル時スピンダウンするかどうかを結構気にしています。アイドル時スピンダウンさせる方法はないかとググってたら、「LSI HBAs – drives don’t spin down under Windows (fix)」なるページを発見。ここで説明されているように、レジストリをいじってみます。
デバイスマネージャーで、このカードに標準で適用されたドライバーのプロパティを表示し、ハードウェアIDを確認します。私の環境ではPCI\VEN_1000&DEV_0072&SUBSYS_30201000&REV_03
でした。
先に確認したハードウェアIDを参考にレジストリエディターで
\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\Enum\PCI\VEN_1000&DEV_0072&SUBSYS_30201000&REV_03\4&798c2c0&0&00DC\Device Parameters\StorPort
を開き、新しい値(DWORD)追加で、名前を「EnableIdlePowerManagement」、値を「1」とします。
追加すると右の画面のようになります。この後、設定を反映させるために再起動をすると、アイドル時にこのカードに接続したHDDがスピンダウンするようになりました。
ST4000DM000を3台接続時でスピンダウンすると消費電力が10W程度下がります。
FreeNAS on ESXiでの動作検証
ESXiでの検証のために、前述の環境から一部設定等を変更しています。HBAカードはパススルーしてゲストで使います。
ホストOS | ESXi6.7 20200604 |
ゲストOS | FreeNAS 11.3-U3.2 |
BIOS設定 | VT-xとVT-dの有効化 |
消費電力の計測にはREX-BTWATTCH1を用い、1秒間隔で10分間計測し10%点のデータをアイドル時の消費電力としています。
カード接続前の消費電力 (ESXiのみ起動) |
14.6W |
カード接続時の消費電力 (ESXiのみ起動) |
23.2W (HDD接続なし) |
FreeNASへのパススルー | OK |
FreeNASでのカードとディスク認識 | OK (自動認識) |
RAID-Zへのファイルコピー | OK (ST4000DM000x3でRAID-Z、 100GB程度のコピーテスト) |
FreeNASでのS.M.A.R.T値の読み取り | OK (smartctl -a) |
やはり鉄板のカードだけあって、消費電力と発熱を除いて安定している感じです。